心身機能の向上を期待できる、先進的な取り組み
「おとなの学校」とは、学校を模した授業形式で機能訓練や脳リハビリを行うことにより、高齢者の方々の意欲を高め、心身の活性化をはかる新しい高齢者のケアです。介護保険適用事業ではありませんが、主に介護施設などで導入されており、導入事業所は2020年9月現在、全国で約500施設に及びます。
おとなの学校では、昔のことを思い出す「回想法」なども活用し、「思い出す、考える、喋る、動く」ことにより脳を活性化させます。株式会社おとなの学校 ※ が発行する専用テキストを使い、国語、算数、体育、家庭科といった授業や、リハビリテーション、回想法などの機能訓練を、授業形式で実施します。いくつもの介護施設において、学校形式としての活動により、高齢者の意欲向上や、心身機能・認知機能の改善につながっていることが報告されています。
※ 熊本で高齢者医療に取り組んでいた医療法人社団大浦会が発祥。2006年からは、確立させたノウハウを株式会社として提供するようになりました。多くのメディアや厚生労働省、経済産業省が先進的な事例として取り上げています。
また、既に認知症を発症してしまった方々への効果だけではなく、社会的つながりを持ち続けることなどによって、認知症の発症リスクを軽減する効果も期待できます。子どものころには当たり前だった、登校する、声を出す(音読、合唱、会話)という何気ない行動の一つひとつが、脳や身体に適度な刺激を与えるのです。
たとえば「登校する」という行為一つをとっても、他人を意識して身だしなみを整えたり、時間管理をしたり、手足を動かしたりといった、心身を刺激する様々な要素を含んでいます。こうしたことが心身機能の低下を防ぎ、認知症を発症しにくくすることにもつながると推測されています。
実際に高齢者の医療に関わる数々の研究において、次のようなことが介護予防に効果があるのではないか、と言われています。
介護予防に効果があるとされること
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項目 |
① |
楽しみのための活動や日課 |
② |
外出、交流機会の拡大、社会性の維持 |
③ |
張り合い、役割意識 |
④ |
身内以外の頼れる存在 |
滑川町の調査にもあったように、高齢者世代になるにつれて他人との接点が少なくなり、家にこもりがちになることで、心身ともに機能が低下してしまうことは容易に想像がつきます。
楽しい気持ちになったり、人との絆を感じられたり、誰かの役に立っていると思えたりすることは、単に介護予防というだけでなく、人生を豊かにすることにもつながります。おとなの学校はこれらの要素を自然と内包しているので、介護予防に効果があるだけでなく、高齢者様の生活に彩りと喜びをもたらすことができるのではないかと思います。
医療法人昭友会では、地元滑川町に密着し、地域の方々の元気を応援するために、住民の皆さまが何歳になってもいきいきと過ごすことのできる場所の一つとして、町と一体になって「おとなの学校」の取り組みを行っています。