当施設では、まだ数少ないユニットケア方式を導入し、
- 根拠に基づいたケア
- 尊厳を保つケア
- 生活をともにするケア
- 高齢者の"今"に寄り添うケア
を行っています。
これらのケアが実現できているのは、いづみケアセンターの介護職の89.3%が、介護福祉士の資格をもっていることとも無関係ではありません。介護老人保健施設における介護福祉士の割合は、全国平均で4割程度(2014年、全国老人保健施設協会より)。当施設では、圧倒的に高い割合で介護のプロが常駐しているといえます。
公益社団法人 介護福祉士会によれば、介護福祉士とは、「介護に係る一定の知識や技能を習得していることを証明する唯一の国家資格」です。また社会福祉士及び介護福祉士法では、介護福祉士は、個人の尊厳を保持して誠実に業務を行うことや、介護などに関する知識と技能の向上に努めなければならないことなどが定められています。このため、当施設の介護福祉士も定期的に外部研修に参加するとともに、施設内でも伝達講習を行い、質の高いケアの維持を心がけています。
根拠に基づいたケア
根拠に基づいたケアの具体例として、疾患の理解が挙げられます。その方に合ったケアを提供するうえでは、病気を理解することが欠かせません。たとえば認知症は、一口に「認知症」といってもいろいろな種類があります。それぞれの特徴や症状などに合わせて個別に対応できるよう、スタッフで情報共有を徹底しています。
ボディメカニクスを活用した介助の実践も、科学的根拠に基づいたケアの一つです。ボディメカニクスとは、介助をするときの手技のこと。体の重心を低くするなどにより、少ない負担と安定した動きで安全に介助でき、スタッフの腰痛予防にもつながります。また介護者の方にも、ボディメカニクスを活用した介助方法をお教えし、介護負担をできるだけ軽くするアドバイスをしています。
個別にかかわり尊厳を保つケア
人としての尊厳を守ることは、年齢や場所に関係なく大切なことですが、心身機能が低下した高齢者の場合には、特に大切であると思います。大人数での入所生活では個別対応が難しいこともありますので、日頃から高い意識づけが必要です。
いづみケアセンターでは、内部研修として虐待防止研修、身体拘束研修、接遇研修などを年2回開催。身体拘束をせず、プライバシーを保ち、ご本人の意見を尊重する意識が、すべてのスタッフに根づいています。入所者様やご家族の立場にたちながら、業務を「こなす」のではなく、気持ちが動くようなお声がけを心がけています。
また、設立当初からユニットケアを導入していることは、このような「尊厳を保つケア」が当施設の理念の根本にあることの証左でもあります。いづみケアセンターは、「高齢者のケアは小さい単位で行われるべき」とする創業者の思いから、1997年に建てられました。居住エリアは7つのユニットにわかれており、ひとつのユニットの定員は13名様から15名様まで。プライバシーにも配慮しやすく、入所者様お一人おひとりと丁寧に関わることができます。こぢんまりとした住環境は、入所者様に穏やかな暮らしをお届けする大きな要素でもあり、安心してお過ごしいただける空間です。
笑顔を引き出す、生活をともにするケア
お一人おひとりの居場所作りだけでなく、共に喜び、共に生活を楽しむ「他者との関わり」も、私たちの工夫の一つです。
たとえば、昼食はスタッフも一緒に食卓を囲み、入所者様と同じ食事をとっています。これによって、「美味しいですか」ではなく「美味しいですね」と共感することができます。とても些細なことかもしれませんが、こうした日々の共感は、自尊感情を満たすためには必要なこと。受容され、共感されることによって自分の存在価値を見出し、そのことで自尊感情が高まっていくのです。こうした小さな積み重ねが、入所者様の笑顔を引き出す一助となっていると考えています。
丁寧に耳を傾けつづける
高齢者の"今"に寄り添うケア
病気や後遺症を受け止められず落ち込む、痛みがあり起きられないなど、高齢者は様々な不安を抱えていらっしゃることが少なくありません。実際に入所中でも、「もうだめになっちゃった」「分かんなくなっちゃった」といった心の吐露をお聞きすることがあります。不安や心配ごとの内容は様々で、田畑やご家族の心配、家はどうなっているだろう、貯金はどうなっているだろう、など、ご自身の健康以外のことを気にかける方も多くいらっしゃいます。
不安という負の感情は、リハビリへの意欲が低下するのみならず、認知症の症状を悪化させてしまうことにもつながりかねません。ご自宅とは違う慣れない環境の中ではあっても、不安や心配ごとが少しでも軽減されるよう、私たちはとことんお話を傾聴しています。意欲的に前向きに毎日を過ごせるよう、どうぞスタッフに全力でサポートさせてください。
あらゆるご相談に全力で取り組む
ご家族への支援
ご家族からの相談内容は、介護の手技や方法、介護福祉サービスの選び方、福祉用具、食事、住宅環境、移動手段、ご自身の健康のことなど、多岐にわたります。
必要な際にはいつでもご家族とカンファレンスをひらき、入所者様の状態の変化、リハビリの進捗具合をお知らせするとともに、プランの見直しや在宅復帰時期のご相談、在宅介護サービスとの連携などを行っています。
介護でお困りごとがないように、退所後にもご自宅を訪問し、ご本人の動作などを確認するのとあわせて、ご家族への介護アドバイスもしております。
このほかに、リハビリや介護の知識をお伝えするため、年に1度、家族交流会を開催。介護にまつわる講習会やご家族同士の懇談会のほか、入所者様の日頃のご様子を写真やビデオでお見せしたり、スタッフが直接お話できる機会でもあります。講習会のテーマは、腰痛予防体操、介護のコツ、オムツやリハビリパンツ、パッドの種類や吸収量の説明、高齢者のよくある病気の話など。
普段、面会にいらしていても、なかなかスタッフとゆっくり話す時間をとれないと感じていらっしゃるご家族からは、特に施設長やケア部長、リハビリスタッフとゆっくりお話ができる時間があることで安心できると、大変喜ばれています。
万全のアフターフォロー
ご自宅へ帰られてからの生活で、ご本人や同居者の方々にお困りごとがないように、入所中から施設内外でさまざまな連携をしています。当施設の支援相談員が、ご自宅での担当ケアマネジャーと相談し、入所中のご様子や、在宅復帰後にどのような介護支援をご利用いただくことが最適かといったことをつぶさに話し合います。
退所予定が決まると、担当ケアマネジャー、介護事業者、福祉用具担当者ら関係者をまじえて、綿密なカンファレンスを行います。また退所後にもご自宅を訪問し、動作確認やアドバイスを行っていますので、アフターフォローも万全です。